「引っ越し大名」は参勤交代を題材にした小説で、8月30日に映画公開されます。
星野源さん演じる主人公の片桐春之介(かたぎりはるのすけ)は、人と接するのが苦手で内気、本を読むのが大好きな青年侍です。
ある日、幕府からの参勤交代により春之介は突如、”引っ越し奉行”を任され慌てふためくことに。
超激務として知られる参勤交代を春之介がどう乗り越え成長していくのか。
これが大まかな全体像ですが、コミュ障で引きこもり、ブラック任務と現代に通じるものがあります。
だからこそ、春之介には同情というか妙な親近感が湧いてくるものです。
春之介のモデルとなった人物は誰なのか?
また、江戸時代に引きこもりはいたのでしょうか?
こうした興味深い点についてまとめてみました。
春之介のモデルは?
タイトルにある”引っ越し大名”というのは、江戸時代に実在した松平直矩(まつだいら なおのり)を指します。
直矩は7回も国替えをさせられたことから、このアダ名がついてしまいました。
今でいえばブラック企業から、何度も強制転勤させられている不遇の大名といったところでしょうか。
さて、春之助はというと書庫番をしており、今でいうところの図書館司書の仕事に従事している。
春之助の性格からしてまさに天職といえます。
では片桐春之助のモデルは誰なのか?
これに関しては確かな情報はなく、架空の人物だとみてよさそう。
というのは、春之助が身に付けている衣装によるところが大きい。
よく見てみると桜のような形をした紋が印されているのが分かりますよね。
実は桜の紋というのは、江戸期では好まれなかったのです。
戦国武将が使っていた家紋は無数にあるが、この中にこれほど愛されている桜をモチーフにしたものがひとつもないのだ。100種以上の家紋の図版に用いられている梅とは、扱いがずいぶん異なる。「短命」や「儚さ」といったイメージが家督に関しては相応しくなかったのだろう。
衣装にある紋というのは武家の家柄を表しますから、短命や散るといった特徴のある桜が避けられるのは縁起的にも当然だといえます。
ということで、桜の紋を使っていた歴代人物は存在せずモデルもいないことになります。
春之助は陰キャということで、イメージに近い桜の紋が使われたのかもしれません。
江戸時代の引きこもりは?
春之助のように江戸時代は引きこもりがいたのでしょうか。
これに関してはQ&A形式で分けてみました。
Q:江戸時代に引きこもりはいた?
A:昔から引きこもりは存在していました。
それどころか鎖国してましたから、国民総引きこもり社会だったようなもので、特別変な目で見られる感じではなかったのかも。
Q:江戸時代の引きこもりはどんな感じだったのか?
A:江戸時代は身分制度がありました。
上流階級は奉公人という私的な使用人がいて物事を頼むようにしていました。
なのでいつも引きこもれる環境にあります。
その反面、下流階級は自給自足が当たり前、引きこもれる余裕すら無かったようです。
引きこもりは即、死に繋がるといったほうがよいかもしれません。
Q:引きこもりは何して過ごしてた?
A:部屋に籠もり本を読んだりと、春之助のような感じで過ごしていました。
当時は”引きこもり”という言葉や、引きこもることに罪悪感や病気という認識がなく、伸び伸びと引きこもりれたよう。
それどころか当時の文献によれば、お金がなくても周りが助けてくれて、いつでも仕事にありつけて、気兼ねなく稼業を継げたとあります。
物質的には貧しくとも精神的には満たされており、引きこもりでも比較的生きやすかった時代といえそうです。
春之助は陰キャなのに振る舞いは実に陽気。
こうした点からも江戸の引きこもりは大した問題ではなかったことが分かりますね。
まとめ
引っ越し大名は、参勤交代、引きこもり、コミュ障等々、現代の裏の顔を映し出しているようでもあります。
それに星野源さんは時代劇映画初挑戦でありながら、陰キャとしてハマリ役過ぎ。
逃げ恥で獲得したファンのみならず、引きこもり層まで巻き込んだ話題作となりそうな予感です。
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